E6-Bフライトコンピューターのページ

パイロットの必需品、フライトコンピューター(航法計算盤)について、ご紹介します。

フライトコンピューターって何?

フライトコンピューター(航法計算盤)は航空機のパイロットが使用する 計算尺の一種です。 速度、到着予定時間、風に対する影響などを電気を使わずに簡単に計算することが出来ます。

一般的な計算尺は1970年代に廉価な電卓の出現と共に急速に市場から姿を消しました。現在、フライトコンピューター (航法計算盤)は世界中で使用されている数少ない計算尺の生き残りのひとつです。

latest E-6B 航空界でいまだに手動の計算尺を使用している理由は、

  • 電池切れがない・・・飛行中はコンビニに立ち寄って電池を買うことは出来ません。
  • 故障しない・・・構造が簡単なので故障のしようがありません。
  • ボタンの押し間違いがない・・・とくに小型機は揺れるので小さなボタンを正しく押すのは大変。
  • 環境の変化に強い・・・精密な電気・機械部品がないので温度、気圧、湿度が変化しても影響を受けにくい。
つまり、信頼性が高いということです。最近は電卓式のフライトコンピュータ もありますが、上記のメリットを考えると、計算尺式に軍配が上がります。


E-6Bフライトコンピューターの歴史

an original E-6B 現在、世界中で最も多く使用されているフライトコンピュータはE-6Bといわれるものです。 また、ヨーロッパや日本で製造販売されているフライトコンピューターも、ルーツをたどればE-6Bとなります。

E6-B型フライトコンピューターは米国陸軍予備役飛行教官のフィリップ・ダルトンによって開発されました。 最初はスライドの部分が巻き取り式になっていて複雑かつ高価な仕様でしたが、1937年には現在の形に改良されて、 米国陸軍にE-6B型エアリアル・デッドレコニング・コンピューター(空中推測航法計算盤)として正式採用されました。

オリジナル仕様のE-6B(右写真)は樹脂製で航空機のコクピットに装備されている紫外線灯によって夜間でも視認性が 高くなるように工夫されていました。
第二次世界大戦が始まると大量生産により40万台以上のE-6Bが製造されました。1943年には、陸軍と海軍で共通の コードネームを与えられて、AN-C74(Army-Navy-Computer74)となり、その後も名称が変化しましたが、一般的には、E-6B または、ダルトンの推測航法計算盤と通称されていました。

戦後になって、ダルトンの特許の期限が切れると、各社からコピー製品が続々と誕生しました。そのとき名称もE-6B からE6BまたはE6-Bと製造会社によって変化していきました。50万人を超える元米軍人の一部は戦後の航空業界 を支えると同時に、E-6Bを世界中に広める役割をしました。

日本ではE-6Bの改良版である、E-10A がジュピターコーポレーションによってライセンス生産され、 1950年代の後半から30年近く自衛隊や民間で使用された歴史があります。

現在E6-Bはアメリカで操縦訓練を受けたことのあるパイロットであればほぼ100パーセント使用した経験を持つ、とても ポピュラーなフライトコンピュータとなっています。


市販されているE6-Bの種類と特徴

現在一般の市場で入手できるE6-Bの種類と特徴を説明します。


1.ASA 社 (Aviation Supplies & Academics, Inc.)
asa paper E-6B
  • ASA-E6B-P 訓練生のために開発された紙製フライトコンピュータ。耐久性や精度はアルミ製に劣るが目盛が読みやすく廉価である。(右写真)
  • ASA-E6B-K ASA-E6B-Pと同様の紙製フライトコンピュータ。KATANAのロゴが印字されている。
  • ASA-E6B  アルミ製。スライドの片面に航空図用の距離スケールと横風成分のチャートが記されている。真対気速度220ktまでの 航空機に対応しているが、別売りのスライドと差し替えることにより700ktまで対応可能。
  • ASA-E6B-1 ASA-E6Bの小型版。スライドの裏表を入れ替えることにより、低速機と高速機に対応可能。




2.APR 社 (Aero Products Research, Inc.)
apr E-6B2U
  • E6-B2U ユニバーサルデザイン採用。目盛は3色カラー表示。スライドロックによってスライドのフリクションを調節可能。 特許のマイクロセットにより目盛合わせの精度が飛躍的に向上。シリーズ中最高級版。(右写真)
  • E6-B9U E6-B2Uと同様であるが、目盛表示が黒一色。マイクロセットが装備されていない。
  • E6-B3  ポケットサイズ、目盛板は視認性のよいプラスティック。スライドはアルマイト加工アルミニウム製。低速・高速リバーシブルスライド。
  • E6-B4  E6-B3と機能は同じであるが、オールアルミニウム製のデラックスタイプ。
  • E6-B8  訓練生用に、材質をアルミから視認性のよいプラスティックに置き換え、同時に低コストを実現した仕様。


3.Jeppesen 社jeppesen E-6B
  • metal CSG computer  スライドの裏表を入れ替えることにより、低速機と高速機に対応可能。反射防止表面加工仕上げのアルミ製。(右写真)
  • student CSG computer 機能は同一で材質をカードボードにしたもの。同社の参考書にはこのE6-Bを使用して解説を行っている。








4.Gleim 社gleim E-6B Paper E6-B 他社のカードボード製E6-Bと同等品。Gleim 社発行の参考書に対応している。

このGleim 製コンピュータは現在市場で最も廉価である。厚紙製のコンピューター全般に言えることだが、紙という先入観は捨てたほうが よい。とてもしっかりとした造りで、普通に扱えば数年は維持できる。また、金属と違いとても軽量で文字も読み取りやすい。
物にぶつかっても相手を傷つけない。落としても壊れない。湿気にだけ注意すればよいので、初めてのコンピュータにお勧め。











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STUDENT CSG 米国JEPPESEN社製、Student CSG(E−6B)航法計算盤です。

カードボード製、特殊な厚紙に樹脂をコーティングした材料で作られていますので、 耐久性抜群!落下させても壊れず、ぶつけても相手を傷つけません。

金属製に比べスケールが読み取りやすく、丈夫で安価なためパイロット訓練生に最適。 機能は金属製と同等です。

英文取扱説明書付属。サイズは250mm×125mm。フルサイズE6-B。







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